土地探しは夢探し。自分が得たものを全力で注ぎ込んで、やっと手に入れる地球上の一枚のカケラ。
それが単なる世の中のルールだということはわかっている。脅かされる可能性は世界で見れば大きいものだ。でも、恵まれた日本という土地で、人の生きがいになるのなら、人々の役に立っているということだ。私もガムシャラに、生きがいを探したいと思います。
さて、今回も長野県。全国からお客様に来ていただける土地探しの一環で、南北アルプスあたりを狙っているのだが。
自分の探し求めていた土地だ!と思っても、地元の人には行きづらいことは多い。観光資源として使ってしまっては申し訳ない、と思うような、美しくてヒッソリしている土地もある。長野県富士見町の井戸尻地区もそうである。この風景は、町が観光資源化の本腰を上げるまでは手を出したくない場所かもしれない。
井戸尻には竪穴式住居を含む考古館があるのだが、お隣の茅野市はもう少し規模の大きいものがある。縄文のビーナスを排出した茅野市にとっては、縄文というキーワードは大きなものに違いなく、立派な博物館、立派な駐車場、市内至る所に存在する土偶の数々で賑わいを見せている。
一方、ヒッソリ系は井戸尻考古館だ。写真のように最寄駅「信濃境」はひっそりと小さく佇んでいて味がある。お手洗いを済ませていたら、特急あずさが通過した。富士見町の中心部は富士見駅。ここまでくるのに、車で20分はかかってしまった。
かかってしまった?いやいや、時間をかけたかいがあるというもの。美しく輝く絶景を見よ!
井戸尻考古館から見下ろすと、日本の田園風景が広がっていた。遠くには豊かな森林が佇んでいる。たぶん、田畑以外は縄文時代よりも前から広がる景色。山の間から見える富士山が、富士見町の名前の由来か。
iPhone13Proの望遠を活かして、遠くの富士山を見つめてみる。山々は絵画の額縁のように富士山を飾り立てる。富士見町と言っても、これほど富士山が良く見える場所は井戸尻地区にしかないかもしれない。
ところで、富士見町の井戸尻地区は住みやすそう。駅からの送り迎えは車を使えば5分もかからず、少し山を降れば国道20号線だ。それに、この景色は絶品。あまりにも考古館からの景色が良すぎて、周りにも広がる見下ろし型の田畑の撮影を忘れてしまうのが玉に瑕だが、それほど心に残る土地だった。
他の地域から来てもらう飲食店としては難しいが、ゲストハウスなら良いかもしれない。大いに検討したい土地である。
だが、住む人はどう思うのだろう?みんなヒッソリと暮らしたいのではなかろうか。どうしてもついて回る不便を押し通して手に入れた、豊かな自然。その生活を壊してしまうようでは、この地区には入れない。
そう思ってしまう不思議なくらいのひっそり感。心の病が生まれた時、眺めに行くと良いよ、くらいに留めておきたい、宝物のような場所だった。
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